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2011年05月25日

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地域経済のドーナツ化

現在住んでいる那覇市にある商店街の大半はシャッター街。
国際通りに面してる辺りはそれなりに繁盛していますが、奥に行くに連れて徐々に寂しくなっています。
これは沖縄に限ったわけでなく、全国的に見られる傾向。

もちろんそんな傾向の中、それなりに繁盛をしてる従来の商店街もありますが、それはほんの少し。大半の理由は、駅と駅を結ぶ生活交通の間にあったり、駅と大型の施設が隣接しているなど、交通量がそれなりに見込める場所だったりします。

沖縄の場合、那覇市の旧中心市街地にある商店街でまだドル箱を誇っているのは、那覇OPAの横にある「市場通り商店街」ここは国際通りに匹敵する売上があがっています。(そうでないお店もありますが)
その理由はメインストリート国際通りと、観光地で地元の集客もある公設市場を結ぶラインだからです。類似する位置に「むつみ橋商店街」「平和通商店街」とありますが、その交通量の差は歴然としています。

おおよそはこんな感じが通例です。

地元沖縄の皆さんは体感されているでしょうが、今、国際通り界隈で買い物や食事をされるのは、ほぼ無くなったのではないでしょうか。地元の需要は殆ど無いように感じます。僕が沖縄に始めて来た20年くらい前にはまだ地元をターゲットにするお店が軒を並べていましたが、今では殆どが観光客目当てのお店ばかりですからね。
地元の需要は大半が郊外へとシフトしています。これは沖縄だけではなく全国的な傾向。
国際通り界隈は、旧市街地であっても観光のメッカなので、全国の中でもまれな例なのです。沖縄で全国の平均的な例かそれ以上に当てはまるのは、沖縄市でしょうか。

この中心市街地の過疎化には、対策として国の政策で活性化予算が組まれています。
内閣府地域活性化推進室や厚生労働省の雇用創造推進協議会などその種類は様々で、市町村の申請で国から予算が下りて、中心市街地活性化の対策として活用されています。
地方都市の中心市街地において、居住人口の減少や、それにともなう空き店舗の増加、商業機能の劣化が著しく、そのにぎわいを少しでも取り戻そうという対策です。これは全国的に1990年代初めから見られるようになりました。
従来は、中心商店街の衰退への対策でしたが、商業活性化の政策として中心市街地活性化が論じられる傾向でした。単に商店街の物的な環境整備やイベントを行う程度の対策ではまったく不十分で、都市交通や土地利用の誘導や再開発も含めた都市のあり方そのものから見直していくのが今の主流な考えになりつつあります。沖縄市に関しては、ミュージックタウン等の再開発がその最たる例です。

これを経済的な潮流で見てみるとこうなります。
中心市街地にあるビルや商業施設は老朽化が進んでいます。ようするに原価回収を済ませた上物としては資産価値が低下もしくは無資産化した建物です。お金自体は、利益のあるところ、利回りが高いところに流れるのが性質ですので、未開発の地の開発に流れるのが常識的な考え方です。中心地での商業価値が高まれば、地価も上がりますよね。そして住民は地価の安価な郊外に住宅は移ります。住民の流れも郊外化するのは、安価な価格で住宅が手に入るからです。もちろんそれにともない商業施設も郊外型にシフトします。この商業施設も、都市中心部より十分な広さで、安価にオープンする事が出来ます。これがドーナツ化の基本です。沖縄の場合は米軍基地の返還地が一定の開発規模がある土地として開発対象となります。新都心も北谷もいい例かもしれません。こう見ると沖縄の場合は後発での開発地の方が若干賃料等は割高なのですが、それはお愛嬌で(汗)。結果として後発で開発される地域に住民や、商業施設はシフトするので、旧中心市街地は結果として今の状況にならざるを得ないわけなのです。

ようするに旧市街地が振興地域と同じ反映をもたらすには、開発速度と同じレベルでマーケットの規模拡大、人口増加が見込まれなくてはいけません。どれだけ開発が進んでも、地域マーケットのパイの数は同じだからです。(人口や雇用、所得の増で若干の上昇はありますが)
沖縄で見てもそれは非常に分かりやすい傾向が伺えます。
新都心の発展は、小禄や国際通り界隈の地元需要の減少です。今新都心にあるお店は小禄や国際界隈のモールにあったお店が多いですよね?また北谷の発展は沖縄市の旧市街地の衰退として現れました。
また、沖縄にあるショッピングモールの大手2社の年商は約2000億円くらいあります。そのモールが出来たのはここ10年くらいでしょう。その売上規模分が、他の地域や商店街、個人商店からシフトした売上なんですね。
結果としてパイは同じ。それが旧中心市街地が過疎化する原因なのです。

旧中心市街地は原価償却の済んだ建物ばかり。
建物を建てたお金は回収済みなんです。基本的には次の投資に使われているか、地主さんの預貯金になっているかでしょうね。そんな側面もお忘れなく。
要するに郊外の開発が慢性化する頃に、老朽化した旧市街地をまた再開発して活性化する。それを30~50年サイクルでシフトするのが通常的な考えであって、自然な流れなのかもしれません。
もちろん旧市街地にも今はありますので、その対策が今の政策なのでしょうね。


駄文に長々とお付き合い頂きましてありがとうございました。
誤字は後ほど訂正いたします。



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Posted by cyborg-z at 01:46│Comments(2)経済関係

この記事へのコメント

初めまして。

沖縄県内にて、に自営業を営んでおります。

紺野さんのブログをいつも楽しく読ませて頂いて
おります。

色々な業種のコンサルを経験されているとの事ですが、
私の事業も1業種に絞ってはやって行けないと思い、
他業種(他の会社を譲渡をする形になると思いますが)に
参入予定です。

譲渡予定の会社は県内でも多少知名度が有る会社です。

経験豊富な、紺野さんと一緒にお仕事でご一緒出来たら良いなと
思いました。

これからもよろしくお願い致します。
Posted by shi-izushi-izu at 2011年05月26日 22:58
shi-izuさま
返信おそくなりました(^^;
思いつきブログを読んで頂きありがとうございます!!
非常に嬉しいです☆
超多忙期に入っており。。
僕とは面識はありますか??
何か興味を抱きました。またサイドバーよりメッセージでもください。
Posted by cyborg-zcyborg-z at 2011年06月02日 02:09
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