紺野昌彦オフィシャルブログ・絶えまない変化の先に

紺野昌彦オフィシャルブログ

LINEで送る

2010年11月18日

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

中国脅威論?

先日のブログに引き続き中国論です。

尖閣問題や中国のシーレーン覇権など色々と問題になっていますね。
これにはweb上で賛否両論色々な意見が飛び交わっています。もちろん脅威でもありそうでもない意見もあり日本はどのような舵取りをするのかが今後の注目すべきところでしょうか。

前回にも書きましたが、中国は生産拠点として外貨が集まり、そしてそこで作られた物が大量に輸出され、さらに多くの外貨が集まりました。今や日本を抜いて世界第二位の経済大国になりました。そしてその莫大な14億の人口の所得も向上して、マーケットとしても熟成しだしています。今回のリーマンショック以降の世界金融破たんで、中国が影響が少なかったのは、そうしたバックボーンがあったのも一つの理由です。
これは世界的に経済、産業構造が変わっているからなんですね。それは産業が世界的に平行化から工程化にシフトしているので、まずそんな流れを理解しなくてはいけません。簡単に言えば、戦後から1980年頃までは世界製品を工場として日本の位置づけがありました。いつも僕がブログに書いているように、それは日本の労働人口がピークの時期でもあります。そしてその世界の工場は、今や日本から東アジア全域に変わってしまった流れです。それまでは優秀な工業製品は「アメリカ製」そして「日本製」今は「韓国製」「中国製」にシフトしている感じです(インド、バンクラディシュも)。まだまだ日本製品もブランド化が確立して、世界で売れているのですが、ご存知のとおり作られているの海外ですよね。
さきほど工程化を書きましたが、日本やアメリカはその技術開発や技術提供、パテントの権利取得が分業の範囲です。知的権利とでも言いましょうか。生産は日本を除く東アジア。その15年20年後はベトナム、フィリピン、インドネシアといわれています。こんな感じで世界での分業化が加速しています。グローバリズムですね。もちろんこれは日本だけで見れば円高と言う理由もありますが、世界の労働人口の変化とそれぞれの国の発展途上段階もこれに大きく関わってくるのです。
このような世界経済の背景はまず念頭に置いておかなくては中国脅威論を語るには至りません。

現在の中国は世界第二位と言えども国民1人当たりのGDPは日本人1人当たりの「10分の1」しかありません。中国が倍の発展を遂げたとしても個人所得は「5分の1」。国家規模で見るとGDPは大きな差に感じますが、国の面積、人口から見ると倍に成長されたとしても日本の方が上なのです。なのでどっしり構えるべきでは?と思うのですが。。そして先ほどの平行分業化からの視点で見ると中国はますます大きなマーケットとなるのです。もちろんこれは経済面でしか書いていませんが、その分業化の世界傾向と、巨大化するマーケットを完全にシャットアウトするような発言をよく見かけるのが残念ですね。そうすれば世界経済から放り出される?自ら抜け出る?ことにもなります。感情面ではもちろん僕も理解できない事はありませんが、中国と日本が今以上に関係が悪化したら、今までで最悪の景気低迷と失業率、物価の上昇を招きます(国内に入る安い中国製品と食料品が激減するので)その環境が10年15年続く覚悟を同時に示して、対中国論を述べるとそれなりに納得がいく話になります。ですが、そのあたりは誰も論じていないように感じますね(^^;
またそんな人たちは、ベトナムがある!フィリピンがある!などというでしょうが、両国合わせて人口は2億くらい。経済成長はこれからなので、日本を潤すマーケットにはなりません。

参考までに外務省が作り上げている環境作りはこんな感じです。
中国と関係のよくないベトナム、フィリピンをODA等で友好関係を継続させています。それぞれの国の世論調査でも今後頼るべき国は、日本と出ています。そして同じレベルでテコ入れしているのはインドネシア。ここの日本感情も良好で中国に対して脅威を感じています。タイやラオスにも同じテコ入れをしていましたが、中国サイドになびきだしているようです。この外交努力で作り上げた環境を総計しても総人口は5億。経済水準、発展段階から考えても中国の比でもありません。もちろんあった方がなお良いって感じですが、まともな取引国になるまでには10~20年は必要でしょう。その間どうするの?ってことが今後の中国とのお付き合いには考えないといけないポイントと僕は考えています。

一応日本の海軍力は現在世界第三位ですし、国際世論を考えたら中国もそう無茶な事はできない。現在の中国の反日感情は中国国民の中国政府に対する不満の捌け口を操作して向けている事実もあります。中国の内部事情は決してよくありません。また情報を操作しているとは言え、昔と違い今の中国は一定以上の情報は流通しています。今の中国の1党独裁もあと20年は持たないのでは?とも思ってしまいます。

原点から一度考えてみましょう☆
近いうちに軍事面から見た解析をしてみたいと思います。
やや軍事オタクなところがあるので(^^;
何かの参考になれば幸いです。



中国脅威論?


絶えまない変化の先に

紺野昌彦

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 


ブログランキングクリックご協力ください

同じカテゴリー(国際関係)の記事
Posted by cyborg-z at 00:03│Comments(5)国際関係

この記事へのコメント

こんばんは^^

今日もまた、手帖にメモがいっぱいになりました。
中国も大変なんだろうな~って、危機感がなく考えていましたが、もっと真面目に考えないといけないなと思いました。

軍事面からのお話も、すごく楽しみです!
楽しみに待ってます。
Posted by happy@coachhappy@coach at 2010年11月18日 00:32
今、中国の大連市と色々取引させてもらってます。
ビジネス上では温和でいい関係なのですが、いつ牙を向けるかを警戒を怠れません
市場のでかさは魅力ですね
Posted by スイ at 2010年11月18日 01:02
happy@coachさん
実は中国もアップアップでいっぱいいっぱいな部分もあるんですよ。政治に経済に食料に水に資源に。あんな広大な人口と国土は無理がありますからね。しかも何も日本との摩擦だけではありません。北朝鮮と韓国、ラオス以外の全ての国境を接する国とトラブっているんです。国内の目を海外を中国の拡張に目を向けさせて現体制を維持している感が否めません。
もう少し傍観をしてみましょう☆

スイさん
ご無沙汰です。
僕のまわりの中国と取引している皆さんも口を揃えて付き合いやすいといっていますね。なのでイデオロギーでアジテーションを高められた時がだけが恐ろしいんじゃないかな?
水不足、食料不足にそろそろ火がつくかもしれないのでそん時に中国は内政に精一杯になるんじゃないかな?と考えてもいます。
Posted by cyborg-zcyborg-z at 2010年11月18日 04:04
おわ!
あたまいいなー!
…私には難しいけど何となく分かった。笑

つまり、中国は怖くないよ、
中国脅威論を言ってる人は
他に目的があるよ、っていうことかな?
Posted by 市民力!市民力! at 2010年11月18日 11:53
市民力!さん
そう!そのとおり!そこまでの脅威ではないと思っています。自然な成り行きでそれに社会はエスカレートしすぎな感じですね。ナショナリズムとイデオロギー対立はイヤですからね(^^;
そしてそれをアジテーションする某政党。。
Posted by cyborg-zcyborg-z at 2010年11月19日 04:22
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。

コメントを書く

 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。