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2011年02月20日

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タイの経済と政治的背景について

タイの経済と政治的背景について簡単に。

タイの経済と政治的背景について


バンコク市内の画像

たまにタイの経済についてブログに書きますが、僕自身アジア好きなのと仕事の関係でよくタイに行っていたのもあります。また友人も多くいまでも交友しています。中にはタイのシンハービールの社長ファミリーなどもいます。
今回のタイのお話は、若干タイムリーではありませんが、題目の通り、経済と政治背景。
昨年の夏ごろにはタクシン前首相派と反対派の対立流血騒動が記憶にあるかと思います。穏やかなイメージの国であるタイですが、意外な政変で旅行好きの日本人はドン引きした方も多いでしょう。

何故そのような事になったのか。
引き金はタクシンさんが巨額の富を得てた事や、自身が保有するタイ最大の通信会社の巨額の株を自国ではなく、シンガポールに売却した事などが上げられますが、これはタダの引き金でしかありません。
根本的な問題は、今の日本にも言えることでもありますので、何かの参考になればと思いました。

タイは東南アジアのハブとして発達して来ました、代表的な中進国です。
人口は約6600万人、GDPは2639億ドル(名目、2009年)、1人あたりのGDPは3923ドル。



[世] [画像] - タイの人口の推移(1980~2010年)


このように人口の推移と所得の向上が見込まれ、比較的政治的な安定もあり、海外の企業の進出も盛んです。
特にアジア通貨危機がありながらタイが経済的な急成長をしたのは、タクシン前首相の政策にあります。それまでは軍人出身の首相が多く、経済観点では高い評価は出せない感じでした。タクシン氏は警察官僚出身(警察中佐)ではありますが、自身で起業し83年にパソコンのレンタル会社を設立し、その後10年前後の期間で携帯電話事業、ケーブルテレビ事業、通信衛星事業など始め、タイで最大の財閥にまで発展させた経歴があります。
政治家としては、94年にチュワン政権で外務大臣に任命されたのがスタートです。
この経歴で分かるように新時代の経済と、グローバリズム経済にいち早く順応したタイの経済人でありました。国際経済に強いタイにするためには、古い経済体質や政治的体質を根本的に変えていかなくてはいけません。

タクシン首相からすれば、タイの経済発展を阻害しているのは、公務員制度と公務員の意識を拘束している「時代遅れの体質」でした。そしてもっとも成長に重要なのは、公務員と政治、公務員と国民のこれまでのあり方を改革する判断でした。タクシン首相の公務員に対する評価は手厳しく、「人数が多すぎる」「仕事が遅い」「自己保身に走りすぎる」「消極的で競争意識に欠ける」などでした。なんか今の日本の背景に似ていると思いませんか??

2002年よりタクシン首相は歴史的な行政改革に着手します。
詳しくは省きますが、省庁の再編や、公務員制度の改革、年功序列の廃止などがそれに当たります。
そして行政改革委員会ポーコーローを組織して抜本的な公務員改革を行いました。この組織には保守的な官僚などは含まれず法学者などの学識経験者などが当たりました。今の日本で言う行政刷新の機能するバージョンでしょうか。
これはタイが世界経済に波に乗り遅れないために必要な措置とタクシン氏自身が、アメリカのタイ大使館で演説をおこなっています。
これがタイの急速な経済成長につながりました。
もちろんそれには旧勢力からの軋轢も生まれ、本来のタイらしさも失う弊害も出てきます。



[世] [画像] - 名目GDP(USドル)の推移(1980~2010年)の比較(タイ、ベトナム、インドネシア)


この部分での対立も背景に大きくあるのです。
タクシン首相の政策では農村部分での優遇政策や、医療の無料化など福祉の部分も大きく変わり、農村部や貧困層からの絶大な支持が生まれました。そして都市部の中間層、豊富層を始めとする既得権益との対立にも発展します。富の再分配の結果もこのように現れている背景も無視できません。

政治的背景から、経済、そして格差社会、今の日本も同じような環境が考えられませんか?
もちろん抜本的に改革が出来る政治家がいれば同じ状況が生まれそうな気もします。少し脱線しますが、マスコミや検察の小沢一郎氏への「バッシング」「潰し」がありますが、形は違えと同じように思えてしまいます。改革前に行うか、その後に行うかの違いこそあれ、旧勢力と旧体質の持つ力はとてつもなく強いのかもしれません。

話は戻って、タクシン首相が外遊してる時にクーデターによる失脚後、今の状況になっているのですが、その後の(アシピット連立内閣)タイはどのような政策に転換したのでしょうか。
タイはご存知王国です。この混沌とするタイの状況を統治者であるタイ国王が、役割を果たします。タイの国王は日本の皇室とは違い、象徴ではありません。列記とした統治者であります。タイのあるべき姿を示す指導者でもります。そして国の発展ではなく、「足りを知る経済」を提唱して、経済成長より社会的公正を重視する社会を目指す哲学を国民に示しました。
ほんとうはもう少しこれら国王とタクシンとの2重体制になりつつあった社会傾向や、様々に発展した問題も書きたいのですが、長くなりすぎるので今日はこのあたりで終わりますね。
またタイについてはネタだらけですので、近いうちに色々と書きタイと思います。

ついでに。。
現在のタイに在住する日本人は外務省の把握する数で約5万人が在住しています。旅行者や長期滞在者を含めると7万人とも言われています。地方都市に匹敵する日本人が在住しているのです。そしてタクシン氏が去ったあとの経済成長率は昨年で「ー2.2%」です。そして軍事力について少しだけ。実はタイは空母も保有しています(汗

駄文に長々とお付き合い頂きましてありがとうございました。



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Posted by cyborg-z at 04:59│Comments(0)国際関係
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