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2011年02月12日

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戦争請負会社

戦争請負会社
今日の題目は、いつもと少し違います。
ですが国際関係上、アメリカの社会事情そして経済にも少なかれ関係のある内容です。

ここ数年で米軍のイラクからの撤退が続いています。
それが現実になるに連れて多くの書籍も出版されています。題名の「戦争請負会社」「ロボット兵士の戦争」「戦場の掟」「現代の傭兵たち」まだまだありますが、昨年の代表作はこんな感じでしょうか。中にはピリッツァー賞を受賞した作品もあります。特に日本では、日本人傭兵の拘束事件で突如マスコミを騒がせた「戦争請負会社」なる聞き慣れない言葉ですが、日本でもこの事件をきっかけにして「戦争請負会社」の著者であるP.Wシンガー氏の名は一躍有名になりました。

なぜこのようなジャンルの本が多く発刊されているのか。
これには大きな背景があります。そのひとつは戦争の民営化が上げられます。実際にイラクからは多くの米軍が撤退していますが、それに比例してイラク国内には米国、英国に籍を置く、民間警備会社の名を持つ、戦争請負会社が乱立し、現在では400社近く存在しています。そこで従事する戦争フリーターたる元軍人は4万人近くが活動しており、実質3個師団レベル相等の兵力がイラクで活動しているのです。この面々は米軍を中心とする世界各国の退役兵達。
米国内では、戦傷者の増加で反戦ムードが高まりつつあった背景に、米政府が少しでも米軍人の被害率を少なくするために導入した方法なのです。結果として米軍以外のこのような組織での死傷者は米国人であってもその数には含まれません。その市場規模は10兆円を超えるのです。アメリカが数字上の米軍死傷率の低下に払う代償ともいえるマーケットです。
民間に外注される戦争形態、戦争サービス業を生業とした民間企業の乱立、日本ではあまり話題に上がりませんが、着実にそのマーケットは大きくなりつつあるのは事実なのです。

今後米軍の軍縮や色々な地域での規模縮小や撤退もあるでしょう。ですがその背景にはこのような事実もある事は知っておくべきことなのかもしれません。数字やメディアには露出しにくに様々な事情が。。軍縮と撤退、一方でそのギャップを埋める私企業が既に多数出現し、食料・燃料輸送などの後方支援、兵士の訓練、実際の戦闘に従事している。重複しますが、その市場規模は拡大の一途をたどっています。

またこの背景にはもう一つの大きな裏事情があります。それは現代版のベトナムシンドロームがあります。いわゆるポスト・ベトナム・シンドロームですね。簡単に説明すると戦地ベトナムでの体験があまりにも苛烈で、生命の根源にまで触れる出来事だった ために、本国への帰還後もそれを消化しきれず、様々な形で社会不適応の症状を示す、 ベトナム戦争帰還兵の精神状態ですね。この時代の人の多くは普段の生活に戻れずに再び戦地に赴く人も多かったようです。
参考までにローデシア共和国(1965年から1980年)について触れますが、今はジンバブエがまだ2%の少数白人に支配されていた時の国名ですが、この国では残り98%の有色人種を支配するための軍隊は多く海外から募兵していました。その兵力は約6万人。その多くがベトナム帰還兵であった事実もあります。このローデシアについてもかなり深く調べた事もあり資料も沢山ありますのでこれもまた機会を見つけてブログに書きたいと思います。

ここにもまた大きな負のスパイラスがあるのですね。
そしてそれを肥大化させる経済潮流とその社会的背景。
なんとも得いえない事実です。。


駄文に長々とお付き合い頂きましてありがとうございました。




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Posted by cyborg-z at 03:08│Comments(0)国際関係
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